2010年07月07日

マルコム・グラッドウェル「The New Yorker 傑作選1 ケチャップの謎 世界を変えた"ちょっとした発想"をいかに引き出すか

 R+さんから献本していただきました。なんと今回は発売前どころかタイトルさえ決まっていないそうです。

 「はじめに」によると、著者がニューヨーカー誌に1996年から発表したものを選んで収録したものがこの本だそうです。さらにその記事は三つのカテゴリーに分けられているようです。一つ目は「まるで何かに取り憑かれたように何かを成し遂げたマイナーな世界の天才たちの物語」、つまり万能野菜カッターを開発・販売したロン・ポピール、ヘアカラー商品の画期的なコピーを生み出したシャーリー・ポリコフの物語です。二つ目はその時代を代表する理論やパラダイム、人間が経験した出来事を"体系的に理解するための方法"をテーマにして書かれています。三つ目は「"他人に対して行う判断"について考える」そうです。今回いただいた献本に含まれていたのは一つ目のカテゴリーでしかも第一章から第三章までです。正直、面白いところに入る前で切られちゃった感はありますが。。

 とりあえず慣例に従っていいなと思ったところを抜き出したいと思います。
最初の章はTVショッピングの王様の話。なにがどう王様かというと、お店でやっていた実演販売をTVで放映するという革命を起こし、それによって財を成した人の話です。
当時、ライバルたちは商品開発とマーケティングとを切り離して考えていた。だがポピールたちは、それは間違いだと考えた。ポピールたちにとってそのふたつは一体だった。 p.23


多くの優れたイノベーションがそうであるように、チョップ・O・マティックも過去のスタイルを破壊する存在だったのだ。
 それではどうやって世間に、過去のスタイルを捨てるよう説得するのか?
 ただ消費者に取り入ったり、誠実さを打ち出したりするだけでは充分でない。もちろん紹介者が著名人や美人であるだけでもだめだ。発明そのものを説明する必要がある――一度や二度ではなく、三度でも四度でも。説明のたびに新しい工夫を加えて、商品が具体的にどう作動し、なぜそのように動くのかを示し、それが毎日のキッチン仕事でどう使われるのかをずばり伝える。そして最後に、革命的な商品であるにもかからわらず、使い方は実に簡単だ、という逆説的な事実をわかってもらった上で売らなければならない。 p.40
初めて見る商品をいかにお客さんに伝えるかを考えるTVショッピングの知恵は、いかに科学的発見を伝えるかということにも重要なヒントを教えてくれるように感じます。

 第三章は「ブローイングアップ(吹っ飛び)の経済学」ではナシーム・タレブという投資家の話が出てきます。投資業界で「吹っ飛ばない」ための方法は、毎日の小さな不利益を恐れずたった一日の巨額な利益を求めることだとタレブは言います。普通、投資家は日常的に小さな利益を得ようとします。ただしこれにはたった一日で全てを失うリスクが伴うのです。タレブの会社、エンピリカで働くスピッツネーグルは言います。
「それはまるで10年もピアノを弾いているのに、子どもが片手で弾けるごく単純な曲も満足に演奏できないようなものだ」
「それでも自分を前進させるものはただひとつ、ある朝、目を覚ますと、自分がラフマニノフのような腕前になっている、という強い信念だけなんだ」 pp.117-118


タレブは言います。
「重要なのはアイデアがあることじゃなく、そのアイデアを活かす方策を持っていることだ」
「秘訣」とは、状況ごとに具体的な対処方法が明記されたプロトコル(実行の要領)である。
 「だから、プロトコルをつくりあげた。こう言うためだ。私の指示を仰ぐんじゃなく、プロトコルの言うことを聞け、とね。さて、私にはプロトコルを変える権利がある。だけど、プロトコルを変えるためのプロトコルがある。為すことを為すために、自分に厳しくなければならない。ニーダーホッファー(ウォールストリートで最も儲けている投資家の1人。毎日の利益に賭け、たった一日、9.11の日に吹っ飛んだ。)に見られるバイアスは私たちにも存在するから」 p.119


 二つ目、三つ目のカテゴリーはどうやら今後続いて出版される本に収録されるようなので、そちらが出たらぜひまたチェックしてみたいと思います。同じ本について有名なレビューアーが書くとこうなるのかって感じ。
レビューの基本は褒めることと僕は考えているのですが、どんな人であれ本であれ、その人、または本のいいところをみつける練習がブックレビューだなと思うわけです。

有名なレビューアー
 情報考学 Passion For The Future
 書評、ソフトウェア評、日々雑感 橋本大也[URL]
posted by ごとうP at 00:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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